本ブログの前身である「QTVR Diary」は、世界でも類を見ないパノラマ関連情報専門ブログとして、リソースの少ない日本だけでなく海外からも注目を浴び、国内外のメーカーからの情報やソリューションサンプルの提供を受け、パノラマ業界の専門情報をどこよりも早くお届けしていました。

今後ますます増え続けるパノラマのニーズに対応すべく、多くの方々にパノラマを楽しんで頂けるよう、様々な情報を今まで以上に発信してまいります。本ブログも引き続き、ご期待ください!


Flick - フェイスブックがVRのために新たに開発した時間単位


ソーシャルメディアの巨人、フェイスブック社といえば、2014年にOculus社を買収して以来、VRテクノロジーについても常に新しい提言をしてきています。彼らの狙いは、VR空間内でのソーシャルコミュニケーションだと思われますが、技術的にはまだまだ追いついておらず、実現は当分先だと思われます。

そんな中にあって、彼らは先進テクノロジー企業として、常に新しい技術に対して「規格」を提案し、より使いやすいソリューションにしていくための努力を怠りません。ちょうど今から2年前には、VR映像のための新しいコーデック「transform360」を提案してましたよね。覚えてますか?


そして先日、また新たな規格を発表しています。それが時間の単位です。名前を「Flick(s)」と言います。


OculusVR/Flicks: A unit of time defined in C++.
https://github.com/OculusVR/Flicks

これは現在、映像や音響の制作現場で使われている幾つかの単位、フレームレート(fpsまたはframe/second)やHzを置き換える新たな単位です。

1 flick = 1/705600000 秒

凄い面倒くさそうな数字ですね。
感覚的には『1ナノ秒』よりも、ちょっぴり小さい数字となります。
でもこの単位って、とっても重要な意味があります。


ちなみに今、巷で使われている数字といえば、デジタルオーディオ分野で使われる『8kHz 16kHz 22.05kHz 24kHz 32kHz 44.1kHz 48kHz 88.2kHz 96kHz 192kHz』や、映像のNTSC信号で使われるメッチャ中途半端な数字『29.97fps(≒30*1000/1001) 23.98fps(≒24*1000/1001) 59.94fps(≒60*1000/1001) 119.88fps(≒120*1000/1001) 』が有名ですが、小数点とか、やめて欲しいですよね。NTSCに至ってはとっても不正確です。こんな小数を扱う数字で計算処理を行ったら、その処理を経るたびに誤差が増大していくこと間違いありません。


これらの数字を『整数』で表すために、この「Flick(s)」は生まれました。
実際にどう変換されるのか、上記のGitHubページから引用してみましょう。

  • 24 fps frame: 29400000 flicks
  • 25 fps frame: 28224000 flicks
  • 30 fps frame: 23520000 flicks
  • 48 fps frame: 14700000 flicks
  • 50 fps frame: 14112000 flicks
  • 60 fps frame: 11760000 flicks
  • 90 fps frame: 7840000 flicks
  • 100 fps frame: 7056000 flicks
  • 120 fps frame: 5880000 flicks
  • 8000 fps frame: 88200 flicks
  • 16000 fps frame: 44100 flicks
  • 22050 fps frame: 32000 flicks
  • 24000 fps frame: 29400 flicks
  • 32000 fps frame: 22050 flicks
  • 44100 fps frame: 16000 flicks
  • 48000 fps frame: 14700 flicks
  • 88200 fps frame: 8000 flicks
  • 96000 fps frame: 7350 flicks
  • 192000 fps frame: 3675 flicks

NTSC:

  • 24 * 1000/1001 (~23.976) fps frame: 29429400 flicks
  • 30 * 1000/1001 (~29.97) fps frame: 23543520 flicks
  • 60 * 1000/1001 (~59.94) fps frame: 11771760 flicks
  • 120 * 1000/1001 (~119.88) fps frame: 5885880 flicks

VR映像では酔い対策として、高いフレームレートが有効とされています。今後、120fpsや240fpsといった、スローモーションカメラでしか扱わなかったような数字も、当たり前のように配信コンテンツの中に実速度として使われるようになる日も近いでしょう。


昨今のVR映像は複数カメラの同時撮影による後スティッチ処理が標準ワークフローとなっていますが、その際の同期に際してのタイムスタンプの正確性は、高フレームレートコンテンツではますます高まってきます。


今回の単位は既存単位を置き換えるものであると同時に、整数表示による明示化で、より正確な同期作業をプログラミング時の誤差を極力省いた状態で処理することが可能になります。ソフトウェア開発者は、喉から手が出るほど欲しかったモノじゃないですか?ちなみに現在は上記GitHubページから、C++のヘッダーファイルで提供されています。実装はそんなに難しくないでしょう。


今後ますます需要が高まる今回の新しい単位だと思われます。積極的に使っていきたいですね。
国際単位系(SI)に導入されるようになるのかなぁ?


ところで今回の発表を見ると、少し奇妙なところに気付きました。GitHubのアカウントがFacebookではなくOculus VR, LLCでした。しかもOculusアカウントの初めての公開リポジトリが、このFlickのコードでした。ボク自身も開発者ではないのでGitHubには頻繁にアクセスしてませんでしたが、Oculusの公開リポジトリって今まで無かったの?(それとも別にアカウントがあるの?)


〈参考サイト〉
フェイスブックが発表 新たな時間の単位「Flick」目的はVR開発 | Mogura VR - 国内外のVR/AR/MR最新情報



記事内検索
月別記事リスト
RSS
株式会社パノラマニア
〒602−8233
京都市上京区葭屋町通中立売上ル福大明神町128番地
京都リサーチパーク町家スタジオ
電話: 075-417-3062
FAX: 075-417-3063
JR京都線「京都」駅から市バス50系統・9系統「堀川中立売」バス停下車。徒歩1分。
阪急京都線「烏丸」駅から市バス12系統「堀川中立売」バス停下車。徒歩1分。
京阪本線「出町柳」駅から市バス201系統・203系統「堀川今出川」下車。徒歩10分。
京都市営地下鉄「今出川」駅下車、徒歩20分。