Matterportと言えば、魚眼レンズによる円筒パノラマの撮影とデュアルカメラによる3Dスキャニングが同時に出来る専用カメラを作ってるメーカーとして、有名ですね。3Dスキャンデータからの3Dモデリングデータを作成するためのプログラムを自社サーバーに実装し、サーバーアクセス費用としてデータ作成時にコンテンツ毎にお金を払うサブスクリプション方式のビジネスモデルを採用してます。この辺は、不動産パノラマで一世を風靡した(そして既に倒産した)IPIXと同じですね。アメリカのパノラマビジネスは、やっぱりココに落ち着くのでしょうか。
オフィシャルサイトは日本語も用意されていて、代理店ビジネスもかなり儲かってるっぽいです。Matterportで検索すると、日本国内の制作代行業者がポロポロ出てきます。
■ 3D カメラ| 3D スキャン| バーチャルリアリティ- Matterport
https://matterport.com/ja-jp/
現在販売しているカメラは、旧モデルと新モデルの2機種です。
Pro2 3D CAMERA
カメラにはWiFiが付いていて、作業は全てiPadで制御します。
大容量バッテリーも内蔵されていて、8〜10時間は動作するという鉄壁な仕様です。
1カ所のスキャニングは数十秒で行われ、そのままクラウドにアップロードして、数時間かけて3Dモデリング化を行います。
実際の撮影手順は、オフィシャルYouTubeチャンネルで紹介されています。
水平方向だけの撮影なので円筒画像(Cylinderical)の仕上げかと思いきや、データは正距円筒画像(Equirectangular)で出力され、天面/底面はやはりありません。画角は水平360°垂直150°です。垂直画角は意外とありましたね。
で、Matterportシステムの面白いところは、3Dスキャニングをしているので、実際の撮影で複数箇所を撮影した場所を、各々の3Dデータの位置関係から自動的に割り出してコンテンツ内にホットスポット配置してくれるところです。また、撮影時には天面/底面は撮影出来てませんが、3Dスキャンデータから生成された3Dモデリングデータは、他の撮影データからの天井/底面データからも引っ張ってこれるので、360x180°全方位の実写マッピングされた3Dモデリングデータが構築されています。
残念なことに、3Dスキャンの精度はそんなに良くないので、実写の没入型VRコンテンツとしてウォークスルーさせた時には、画像の粗さがかなり目立ちます。そこは今後の課題かなぁと思います。元はこの技術をウリにしてた筈なんですけどね〜。
現状では、パノラマVRコンテンツを利用した従来のヴァーチャルツアーの平面見取り図の他に鳥瞰図の3Dモデリングデータが用意されている、という感じでしょうか。とっても先進的なことをしてる割には、やってることは"見せ方"の変化だけで、従来のヴァーチャルツアーの作りと、そんなに変わりません。
Matterportのビジネスモデルの根幹である自社サーバープログラムによるコンテンツ生成を採用したことで、提供するヴァーチャルツアーコンテンツのUIがとっても優秀でした。ココは誇って良いと思います。特にWebGLを存分に駆使した3Dモデリングデータによる鳥瞰図見取り図は、非常にダイナミックでとても見やすく、何より"カッコイイ"です!
Matterportのコンテンツは全てiframeによるWeb埋め込みが可能です。
オフィシャルサイトのサンプルコンテンツを引っ張ってきましょう。
ね、素敵なUIですよね。カッコイイなぁ。
これだけ完成度の高いUIを持つコンテンツを、平面見取り図や鳥瞰図3Dモデルだけでなく、VRコンテンツ内のリンクホットスポットの設置まで、全て全自動で作成してくれます。ココが3Dスキャン測量の賜物ですよね。正直、うらやましいです!
そんなMatterportのカメラのファームウェアアップデートが、先月半ばにアナウンスされました。
一番大きな改良点は、撮影速度です。
ファームウェアアップデートの前と後では、圧倒的に撮影時間が違います。
作業効率にモロに掛かってきますので、コスト削減に大きく役立ちますね。
さらに、このアップデートと同時にサーバープログラムのアップデートがありましたが、これがとんでもない代物でした。
何と、撮影データを配置データ込みで、Google StreetViewにアップロードが可能になったのです。位置座標は勿論、リンクノードの配置も全て転送されるらしいのです。
天面/底面が無いのは残念ですが、それでも「StreetView おみせフォト(Business Photo)」撮影ビジネスをされてる方にとっては、スティッチ作業も不要だし、リンクノードは自動で配置してくれるし......ということで撮影するだけでStreetViewコンテンツの生成まで行ってもらえるのは、とてつもないビジネスチャンスを掴めるツールになるのではないかと思います。
ボク自身は、Matterportの3Dスキャンは如何なモノかと思っていましたが、VR空間内の実写ウォークスルーなんか考えずに、3Dモデル計算処理の結果に基づくヴァーチャルツアーのリンクデータを自動生成してくれるだけで、大きな武器になるのではないかと思います。欲しくなってきたなぁ。
このStreetView転送は未だベータ版だそうですが、今後改良されて正式版になったときには、StreetViewビジネスが大きく変わるパラダイムチェンジを興すような気がします。
資料請求だけでも、してみようかな?ホンマに欲しくなってきた(笑)