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第2回「長編VR映画のための演出研究会【京都会場】」を終えて

一昨日、無事に終わりました。

今回は、学生さんは期末試験とモロ被りしてしまい、前回参加してくださっていた方や先月仲良くなってぜひ参加したいと表明してくださった方も含め10名前後が不参加の中で、社会人を中心に7名の方が参加してくださいました(IAMAS大学院生が1人いたのは、超強力助っ人的で嬉しかったです!)。

今回は諸事情により、ボク一人の運営だったので、最中の写真も撮れず、配信コメントも読めず、どうしようも無いなかで、最低限のオペレーションの中で動けたかと思います。

そんな中で初導入したのがホワイトボード。元々ボク自身が板書が大好物で、ウチが主催するVR制作に関する有料レクチャー/セミナーも、テキストは用意せずに板書をして受講者に書き写させて、そのノートをテキスト代わりにしてもらっていた程です。

2時間の勉強会は、2つの作品で1時間ずつ割り当ててますが、今回はボクの解説が30分、参加者交えてのディスカッションが30分に分けて、ボクがファシリテーターのような感じで、皆の意見をホワイトボードに吸い上げていきました。いろんな立場の人が参加していて、本当に多岐にわたる非常に濃い内容の意見が大量に挙がりましたので、ボクも興奮していて、なかなか全部を吸い出すことは出来ませんでしたが、それでも何とかリアルタイムで一人で頑張ってみました。

各作品でボクが討論して欲しい注目ポイントを予め用意しておいてホワイトボードに掲げておき、それを横目に作品を見ながら最初の30分でボクが解説します。それを元に残りの30分で参加者ディスカッションしましたが、これがなかなか良い進め方かなぁと思いました。次回もコレで行こうと思います。


最初に討論したのが「Dinner Party」でした。

Dinner Party

1960年代に宇宙人に攫われたカップルに関する米国であった実話に基づくストーリーを360x180°全方位VR映像で仕立てた、傑作の呼び声高い作品です。
この作品の注目ポイントは、以下のように挙げました。

  1. 演劇的手法はアリ?
  2. 天井クレーンカメラは画期的!!
  3. 3DCGのVR映画的演出
  4. VR酔いに配慮した移動視点

このテーマに対して、以下のような意見が飛び出しました。

  • 劇的なまでに等速度で超スローでずっと動き続けるロボット制御アームによる視点移動は、酔い対策として効果絶大。
  • VR酔いは「自分の体験と映像の動きのズレ」によるもので、特に横移動視点で起こりがちだが、今回の視点移動は余りにもゆっくりなので、自分が視点を動かせるので酔わない。
  • 実写=日常/CG=非日常のコントラストがストーリーの理解度を増している。
  • 実写は視点がずっと動いている。CGは視点を自発的に常に動かさないといけない。その対比も面白い。
  • 3DCGだけども実録音声が入ることで、臨場感が増している。
  • 実写部分は、60年代の保守的なアメリカの雰囲気を分かりやすく表現しているが、その中でも黒人男性と白人女性のカップルという保守とは離れたカップルが体験していることそのものの嫌悪感も、表現されている。
  • VRそのものが生の体験である。
  • カメラの視点は、宇宙人の視点かも?

酔い対策のクレーンカメラが衝撃的なんですが、天井から撮影することで、足下の三脚消しを不要にしたり、コンピューター制御のロボットアームにすることで、縦横無尽且つ正確に同じ位置を何度でもセット内のカメラ移動を可能にしています。これによる作品の酔い対策が万全だっただけでなく、演出効果としても抜群の効果を得ていることも確認できました。

さらに、実写とCGの対比は、参加者の皆さんの意見が非常に興味深く、ボクも参考になりました。

改めて、VR映画の名作として、何度でも見返して、自身の作品作りの参考に出来ると思います。



2番目に討論したのが「ハナビ HANA type B」。

ハナビ HANA type B - TWOTOKKI

PlaystationVR専用アプリとして配信されている、そこそこお高い金額の作品なので、視聴環境がなかなか無い人も多く、全編を見た人は参加者の1/3ほどでした。VeeRに1/8ぐらいの尺になったダイジェスト版が先月から登場してたので、それを見て参加された方もいらっしゃいましたが、一応、ザックリと飛ばしながら作品概要を語り、その上で参加者全員でディスカッションしました。

この作品の注目ポイントは、以下のように挙げました。

  1. 長尺に耐え得る工夫
  2. カメラ位置
  3. 360°と180°の使い分け
  4. 恋愛はVRに向いてる?
  5. チャプターエピローグは酔う
  6. 3Dは要らない?
  7. タブレットのデータが見えない

このテーマに対して、以下のような意見が飛び出しました。

  • 技術に対する愛情が感じられない
  • ちょいちょい入るラッキースケベで、ストーリーに入り込めない
  • 360°は3Dは要らない(解像度が高い方が大事)けど、180°は3Dはあっても良いかも
  • ところどころでブルーバック合成があり、なかなか凝っている
  • PSVRのディスプレイに最適化したカラーグレーディングをしているのか?PCディスプレイでグレーディングしてるのかも?
  • 視点の周辺移動も左右はあっても、上下は少ないかな。人間、上下は楽に動かせるので、上下はあっても良いのに
  • 役者の入り位置が同じなので、演技が単調に感じる
  • 主観:360°/一人称:180°で分かりやすい(単調かも?)
  • 牧野省三の「1筋、2抜け、3動作」でいう『抜け感』は、VRはもっと大事に考えた方が良いか

などなど、辛辣な意見が多かったです。

ストーリー展開や調色など全体的に「B級韓流ラブコメディ」感がプンプン匂っているので、その辺で安っぽく感じられて、110分もの長尺を最初から最後まで一気に見るのはなかなか辛い作品ではありますが、作品として110分にまとめあげた手腕は、大きく評価しても良いと思います。特に鏡面に映り込まないカメラ位置の設定などは、VR映像をこれから作る人にはぜひ参考にして欲しいところでもあります。

作品そのものの評価は少々残念な結果になりましたが、VRカメラの扱いや位置などは非常に参考になる作品だと思います。


今回はこの2作品をテーマに、VR映画の演出技法について参加者全員で考察してみました。

次回も無料作品1点有料作品1点の計2点を選定し、それぞれを予め視聴していただき、その感想を踏まえてディスカッションに挑んでください。

来週には、次回の案内を告知しますよ。どうぞご期待下さい。
そしてまだ参加したことが無い方も、ぜひ奮ってご参加ください!



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